ツイてない!!〜But,I'm lucky to have you〜
「どんな困難な時でも、前を向いて。何も諦める必要はない。ただ、努力はするんだ、なんて、ママならきっと言う。ママの信念は『ホロ・イ・ムア』だもの」

泣き崩れながら、琴羽さんはさっき私が話した先生の話を思い出してくれたみたい。

「『ホロ・イ・ムア』って、孝弘さんが私に教えてくれたハワイの言葉…?」
「覚えててくれたんだね。それ、琴羽ちゃんのママに教えてもらったんだ」
「ホロ・イ・ムア…今はホロ・イ・ムアと唱えても、無理。
まこと先生にもう会えないなんて。いくら、前を向いたってもう先生は見えない」

私の目にも涙がにじんでくる。嘘だと言ってほしい。

「マナ」

ショックで血の気が引いていく。そんな私を孝弘さんがぎゅっと抱きしめてくれた。


「あ、迎えが来たわ。琴羽、しっかりして」

インターフォンが鳴る。インターフォンの近くにいた花音さんが、カメラに映る人物を確認した。そのまま花音さんはキーロックの解除をする。


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