ツイてない!!〜But,I'm lucky to have you〜
「花音さん、いったい何があったんですか?」

そこへ現れたのは、思いもしなかった人物。光英大学病院の外科医、水上冬輝先生だった。

「琴羽、冬輝先生来たから。もう、帰りなさい。明日からしばらくゆっくり休むのよ」

「水上先生?え?どういうことですか?」

事情が呑み込めないのは、たぶんこの場で私だけ。そんな私に水上先生は、いつものようにふわりと笑ってみせると、口元に人差し指を当てた。内緒ってこと?何が?

「琴羽、帰るよ」
「冬輝…ママが…」

水上先生を認識したとたん、琴羽さんは水上先生にしがみついた。水上先生もそんな琴羽さんを優しく抱きしめる。これって…この二人ってデキてるってこと?
でも、水上先生にはかわいいお子さんが二人もいるんだよ!まさかの不倫?イヤイヤ、長野先生でもあるまいし、真面目で誠実な水上先生に限ってそれはない。

水上先生も琴羽さんが握りしめていた写真を見て、ハッとした表情を浮かべた。

「これ…?驚いた、意外なつながりがあったんだね」

「しかも、二葉さんはずっとママを尊敬して目標にしていてくれた。私、うれしい…」

「わかったから。ちょっと落ち着きなさい。
二葉先生、今度改めてお話しましょう。今日は、もう、ちょっとまともな精神状態じゃないから連れて帰るね」

水上先生は琴羽さんを抱きかかえて帰っていった。

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