ツイてない!!〜But,I'm lucky to have you〜
入籍していない…?子供までいても?どういうこと?
その疑問も花音さんが教えてくれた。

「うちはね、私だけじゃなく父も母も一人っ子なの。だから父のイトコである琴羽のお父さんと琴羽が一番近い親族でね。
私が一人前になるまでと、10歳年上の琴羽が色々背負ってしまった。私が一人前になる頃には、琴羽だっていい歳になるっていうのにね。
だから、私、逆に琴羽の年齢を理由にしたの。産めるうちに、“一条”の後を継ぐ子供を産んで欲しいって」

花音さんのお願いで、子供を?
好きだから、とかじゃなくて?
これも、信じられない。

「せっかく陽翔と晃翔を授かったのに、琴羽は子供達を冬輝先生の戸籍に入れた。
私が今後子供を持ったら、その子を“一条”の唯一の後継者とする為に。そのくせ、万が一私に子供がいない状況になったら、陽翔たちを私の養子にするって言う始末。
本当に、バカなの。
私は、なんとか冬輝先生とくっついてほしかっただけなのに」

花音さんが眉を寄せ、唇を噛んでいるように見えた。まるで、悔しさや怒りといった負の感情がにじみ出るよう。

「そういう訳なので、二葉先生、琴羽と冬輝先生のことは他言無用でお願いします。
孝弘、あとはお願いね」

あ、いつもの笑顔に戻ってる。
花音さん、感情コントロール上手すぎる。
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