ツイてない!!〜But,I'm lucky to have you〜
価値観の違い
その日の夜。先に帰れたのは、私だ。
誰もいない部屋。明かりをつけ、買ってきた食材をキッチンに置く。自分の部屋に帰ってきたという安心感はまだないけど、でも、これから孝弘さんが帰ってくると思えば心は弾む。
お料理をしようなんて思ったのは、久しぶり。作る元気もなくて最近はコンビニ弁当ばかりだったから。
「ただいま。あれ?いい匂いがする」
「おかえりなさい。肉じゃが作ったの。食べる?」
「食べる!マナの手料理?うれしいなぁ。でも、マナだって忙しいんだから、無理しないで」
「わたしも食べたかったし、無理なんてしてないよ」
「ごめん、ちょっと仕事のメールが入る予定なんだ。パソコン、ここに置かせて」
孝弘さんは、バックからパソコンを取り出してテーブルに置きながら、嬉しそう。
好きな人と一緒にご飯を食べる。
こんな生活がずっと続くなら幸せだ。
孝弘さんは、美味しいって何度も言ってくれた。作って良かった。
食事を終え一緒に後片付けをしていたら、テーブルの上のパソコンにメールが届いた音とメッセージが表示される。
「忙しすぎるだろ。分刻みのスケジュールか。参ったな」
ぼやきながら、孝弘さんはパソコンを見つめてる。真剣な面持ちでパソコンを操作する孝弘さん。
こんな近くでその存在を感じられることに、ドキドキもするし、なんか、安心感もある。
普段の私に優しい甘い孝弘さんも素敵だけど、仕事をしている時の顔もかっこいい。
一人暮らしに慣れて、その気楽さが好きだった。だけど、二人でいる時間も悪くないと思う。