ツイてない!!〜But,I'm lucky to have you〜
「二葉真菜と申します。お邪魔してすみません」
「孝弘が名前で呼ぶくらい、親しいんだね?初めまして、真菜さん。久我大河です」

くが、たいが?

大河さんはマスクを外して、にっこりとほほ笑んだ。


病院の食堂の、『火の用心』のポスター。
ハワイのブティック「Nana no moe  by Junn」のポスター。
それらの映像と、目の前の姿が重なる。
テレビのCMやドラマで活躍する、看護師さん達が夢中になっている俳優の名前。
それと今、彼が名乗った名前が重なる。

「まさか、俺のこと知らない?」
「あ、いえ、俳優さん、ですよね」
「そう。反応がなかったから知らないのかと…たいていの女の子はきゃぁきゃぁ言うんだけど…君は落ち着いてるね」
「充分驚いてます。孝弘さんの幼なじみが俳優の久我大河さんだったなんて」
「なんだ、花音はまだしも、孝弘も俺のこと全然話してなかったのか?
その程度の付き合いなのか、なるほどね」

その程度といわれてしまうと、なんだか寂しい。確かに、孝弘さんのことまだ知らないことばかりだけど。

< 181 / 234 >

この作品をシェア

pagetop