ツイてない!!〜But,I'm lucky to have you〜
「火事に遭ったなんてかわいそうに。顔に怪我までして…かわいい顔が痛々しいな…真菜さん、俺が慰めてあげようか」

大河さんが、そっと私の頬に手を伸ばした。めちゃくちゃ整った顔が目の前に近づいてくる。
え?これって、キスの距離じゃない?!


とたんに、私の視界が真っ暗になった。


「大河を見るな。妊娠させられる」
「へ?」


私の視界を遮っていたのは、後ろから回された孝弘さんの両手だ。その声はひどく不機嫌。

「ひどいな、孝弘。そこまで無節操じゃないぞ。避妊はちゃんとする。
お前、この子気に入ってる?あれ?もしかして今晩、狙ってるとか?」
「女癖の悪いお前と一緒にするな。マナとは真剣に結婚を前提に付き合ってる」

不意に視界が戻ったと思ったら、今度は後ろからぎゅっと抱きしめられた。

真剣に付き合ってるだなんて。ハッキリと宣言されると恥ずかしいな。
びっくりしているのは私だけじゃない。大河さんも目を丸くしている。

「は?お前が琴羽以外の女の子と?…信じられねぇ…」
「別に信じなくていいよ。とにかく、マナには手を出すな」


『琴羽以外の女の子と』

大河さんの言葉が引っかかる。
孝弘さんは琴羽さんの話をするとき、いつも特別顔を輝かせていた。昨日も琴羽さんの来訪をうれしそうにしていたし、気になっていた。
もしかしたら、孝弘さんは琴羽さんのこと…?

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