ツイてない!!〜But,I'm lucky to have you〜
「僕は違う。僕は花音を仕事のパートナーとして支えるだけ。人間として尊敬するけど、女性としてなんて見れないし。
僕は琴羽ちゃんのように花音を支えて、『世界の一条』をさらに大きく強くしていきたいんだ」


また、琴羽さんの名前が出た。
もう、彼がその名前を唇に乗せることさえ嫌だ。


「そう。琴羽さんはものすごく優秀で、美人で、完璧だものね」

「あぁ。琴羽ちゃんの域に達するには、僕はまだまだ」

ほら、その顔。琴羽さんの名前が出た途端にゆるむ表情。大河さんに気が移ったなんて訳の分からないこといってゆがんでいた表情が、一瞬でゆるむ。

「じゃあ、琴羽さんと仲良くして。水上先生とは入籍してないっていうし、奪ってしまえばいいじゃない?琴羽さんなら、孝弘さんにお似合いだし、より一層『一条』のためにもなると思うよ。
お似合いだわ」

あぁ、イヤだ。
私の胸の中の全てが、ついに真っ黒な渦に占領されてしまった。言葉にどんどん棘がでてくる。

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