ツイてない!!〜But,I'm lucky to have you〜
なんだ、この状況。
三人の男性に囲まれて、私、身動き取れない。お互いにけん制し合っている感じ。

大河さんが孝弘さんの背中をポンと押した。

「頼りなさそうに見えるってさ、孝弘。
いつもの冷静沈着なお前を取り戻せよ。お前なら大丈夫。誰にも負けない知力と、どんな大勝負にも負けない運という強さがある。
自信持て」


大河さんの言葉で、孝弘さんの表情が変わった。
それまでの頼りなく今にも泣きだしそうな表情がみるみる変わっていく。目に力が宿っていく。


「あなたが長野先生ですね。
初めまして。僕は丹下孝弘と申します。本日は事務部長一条花音の秘書を務めています。うちの警護担当がお騒がせしました」

ハワイでロストバゲージに困っていた私を助けてくれた、私をきゅんとさせた、あの頼もしい自信にあふれた顔。いつの間にかあの自信を携えた孝弘さんの顔になっている。


「は?事務部長の秘書なら、あの一条琴羽がいるだろ」

「僕は、一条の顧問弁護士も兼任しています。今日は琴羽さんが休暇ですので、僕が代わりを務めております」

「ふうん。一条の弁護士ね。その若さで。よほど優秀か、いいところの出なんだな。
それで?弁護士がうちの二葉に一体どういう用件で?火事のこと?」

「いえ。個人的な理由です。仕事中に、申し訳ございません」

「まぁ、つまりアレですか、あなたが遠距離で二葉と付き合っているっていう相手ですね?」

「マナがいつもお世話になっています。
火事の際も病院に駆けつけて下さったとか。近くに頼れる先輩がいて、マナも心強かったことでしょう。ありがとうございます」

孝弘さん、わざわざ一条の弁護士だなんて言ったり、カレシらしくお礼を言ってマウントを取ったり、明らかに長野先生を挑発してる。

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