ツイてない!!〜But,I'm lucky to have you〜
「今、間違えたら、もうマナは離れてしまう。僕なりに必死なんです。
絶対に失いたくない存在だから。
マナ」

孝弘さんが私に向かって手を伸ばす。

そんなに私のこと、考えていてくれたんだ。
今日、何度目かのドキドキに襲われる。

琴羽さんの姿がちらつく。それでも私は、やっぱりこの人を失いたくない。強くそう思う。
私は、長野先生の手を振り切り、孝弘さんの手を掴んだ。それが、私の答えだった。


「すごいパワーだな。若さってヤツか。
弁護士っていう仕事もしていて、お節介の友達もいて、この俺に宣戦布告を堂々とする度胸。
なかなか、見どころのあるヤツじゃないか、二葉。キチンと向き合って、話をするに値すると思うよ。
じゃ、俺は仕事に戻る。二葉はしばらく休憩時間な。
ほら、みんな、仕事に戻りなさい!見せ物じゃないぞ」

長野先生は、集まっていたスタッフを散らしながら、戻っていった。


「やだ、長野先生振られちゃったみたい」
「でもさ、男らしいね、引き際カッコイイ」

女性たちは、そんなことを言いながら仕事に戻っていく。
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