ツイてない！！〜But,I'm lucky to have you〜

出てこない！

「皆様、ただいまハワイホノルル空港に着陸いたしました。ただいまの時刻は午前10時13分、気温は摂氏26度でございます。
安全のためベルト着用サインが消えるまでお座りのままお待ちください」


遠くで聞こえた到着のアナウンスに、思わず飛び起きた。ヤバイ、熟睡してしまった！だってこの座席、快適すぎる。

「先生、機長からお礼を申し上げたいと…」

飛び起きた私にCAさんが声をかけてきた。

「とんでもない。そんなの要りません。
それより、涼音ちゃんを早く病院へ」
「ありがとうございます。そちらの手配は済んでおります」

涼音ちゃん達家族は一足早く飛行機を降りることになったそうだ。



「ありがとうございました、先生。
ぜひお礼をしたいのですが、まずはとりあえず娘を病院へ連れて行きますね」

先に降りる準備をしたお母さんが、私に挨拶しに来てくれた。

「そんな、お礼なんて結構です。ファーストクラスのお席にも座らせていただいたし、充分です。お気になさらず。
涼音ちゃん、お大事に」


「いえ、それでは私たちの気がすみません。先生、せめてご宿泊のホテルと、お名前を…」

と、お父さんが言った途端に、下の息子さんがぐずり始めた。