ツイてない!!〜But,I'm lucky to have you〜
「このところしばらく病院に泊まり込みでさ、久しぶりに家から出勤したんだ」
水上先生は、特大のため息をつく。
「やっぱり病院長ともなれば、忙しさも極まっていますね」
「何しろ理事長が怖くて。
俺は、やっぱり経営には向いてなくてさ。どうしても現場にいたいから、理事長とぶつかってしまってね。
今になって父の気持ちがよくわかる。
俺の父も、ずっと現場にいたいって肩書きがつくのを嫌がってさ。偉くなるのは一条教授に任せて自分はいまだに手術室の主みたいになってる」
「じゃあ、病院長なんて断ってもよかったのに。
うちのパパに乗せられて承諾したのは、自分でしょ?」
そこへ、あの淡々としたやや低く硬い女性の声。振り返ると琴羽さんがいつもの無表情で立っていた。
「おはようございます、理事長」
「おはようございます、丹下先生」
「教授に乗せられたわけじゃないよ。
俺が柄にもなく病院長なんて引き受けたのは、これの為」
水上先生は、モニュメントの隣、病院内の組織図と医師の紹介の掲示を指差した。
「病院長のお名前、ですか?」
「うん。見て。俺の名前と並んでるだろ?理事長の名前が」
組織図の一番上に、『理事長 一条琴羽』そのすぐ下に『病院長 水上冬輝』と記載されている。
「公の場で、琴羽と名前が並ぶ。これだけの為に引き受けたようなものだから」
水上先生は、特大のため息をつく。
「やっぱり病院長ともなれば、忙しさも極まっていますね」
「何しろ理事長が怖くて。
俺は、やっぱり経営には向いてなくてさ。どうしても現場にいたいから、理事長とぶつかってしまってね。
今になって父の気持ちがよくわかる。
俺の父も、ずっと現場にいたいって肩書きがつくのを嫌がってさ。偉くなるのは一条教授に任せて自分はいまだに手術室の主みたいになってる」
「じゃあ、病院長なんて断ってもよかったのに。
うちのパパに乗せられて承諾したのは、自分でしょ?」
そこへ、あの淡々としたやや低く硬い女性の声。振り返ると琴羽さんがいつもの無表情で立っていた。
「おはようございます、理事長」
「おはようございます、丹下先生」
「教授に乗せられたわけじゃないよ。
俺が柄にもなく病院長なんて引き受けたのは、これの為」
水上先生は、モニュメントの隣、病院内の組織図と医師の紹介の掲示を指差した。
「病院長のお名前、ですか?」
「うん。見て。俺の名前と並んでるだろ?理事長の名前が」
組織図の一番上に、『理事長 一条琴羽』そのすぐ下に『病院長 水上冬輝』と記載されている。
「公の場で、琴羽と名前が並ぶ。これだけの為に引き受けたようなものだから」