ツイてない!!〜But,I'm lucky to have you〜
「あ、いけない、今日は名刺を持っていませんでした。ついクセで…」

ちょっとはにかんだ笑顔になんとなく幼さがみえる。落ち着いたたたずまいとのアンバランスさにまたまたキュンとしてしまった。

いやいや、キュンなんてしてる場合じゃない。

「僕は弁護士です。交渉は得意ですから、任せてください」

え?弁護士⁉︎あ、でも言われてみれば、なるほどそんな雰囲気ある。

丹下さんは、余裕たっぷりの笑顔で航空会社の担当者に、話しかけた。その唇からこぼれた英語は驚くほど滑らかでネイティブな英語。
なんて、頼もしい!

「先生、こっち。手続きするから」

呆気に取られていた私は、丹下さんが示す先に慌てて付いていく。

「先生、名前と滞在するホテル、無くなった荷物の形とか色とか特徴を教えて下さい」

航空会社の担当者に渡された書類の記入も手伝ってくれるみたい。助かるなぁ。

「名前は二葉真菜、といいます。今回の滞在は、ホテルストリークハワイ。
荷物は、シルバーのスーツケース。大きさは今、丹下さんのお手元にある子供用のキャリーケースより一回り大きいくらいです。鮮やかなブルーのバンドがついています」

丹下さんの手元を見ると、私が口にしたことが全てアルファベットとなってサラサラと記入されていく。

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