ツイてない!!〜But,I'm lucky to have you〜
なるほど。あまりに鮮明な思い出だから。
だから、年齢までしっかりと覚えていたんだ。

「今回のご両親の結婚式に、その幼なじみさん達はいらっしゃるんですか?」
「いや。皆、忙しいから。それに、両親も家族だけでこじんまりと、を望んでいてね。なんだかんだ言っても、あの歳で恥ずかしいんだってさ」

丹下さんはそこで言葉をくぎり、改めてこちらを見た。もう、あの陰りも幼さもない。大人っぽい落ち着きを取り戻した極上の笑顔。
カッコいいな。

「なんだか、僕ばかり話をしてしまったね。二葉さんって話しやすい雰囲気持ってるから、つい。
二葉さんの話も聞きたいな」

「私?」

「うん。どこに住んでる、とか」

「実家も東京で、職場に通えないこともないんですが、今は職場から歩いて10分くらいのところにあるアパートに住んでます」

「医師は、結構ハードな仕事だもんね、呼び出しとかもあるんでしょ?」

「そうですね。でも、私は医師になることが夢だったんです。今は、仕事にやりがいを感じています。休みの日も勉強。おかげで友達も減ってしまいました。仕事中毒なんです。
だから、今回のハワイは本当に久しぶりの自分へのご褒美というか、命の洗濯というか。
たまにはのんびり、って思って。ハワイなら呼び出しもありませんし」

「そうだね。休暇は悪いことじゃないよ。心身ともにリフレッシュすることは必要」
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