ツイてない!!〜But,I'm lucky to have you〜
返事をしない私に、丹下さんは困ったように隣のジュンさんを見た。

「ちょっと、孝弘。先生のことが気になっているんなら、はっきりそう言いなさいよ。仕事となればバリバリこなすくせに、女の子の前ではシャイなんだから。
それともあんたまさか、まだ初恋を引きずっているの?」
「そんなわけないだろ。いつの話をしてるんだよ、ジュンさん」
「どうだか。いまだにカノジョがいないのは、こじれた初恋のせいだと思うけど」
「そんなこと、二葉さんの前でしなくてもいいだろ」

ちょっとイラついた様子が、なんとなくまた幼く感じる。ジュンさんを本当に慕っているみたい。ジュンさんも、丹下さんをまるで自分の子供のように気にかけている。初恋まで知ってるだなんて、親子みたいな関係なのかな。


「というわけで、先生、とりあえず孝弘と連絡先交換してあげて?親からこんなに整った顔と才能をもらったっていうのに、この子、奥手でねぇ。今はというより、今も特定のカノジョはいないのよ。
あ、もちろん、先生に彼氏がいて迷惑だっていうなら、無理は言わないけど。
ま、ハワイに一人で来ているくらいだから彼氏はいないと思うから、頼むわ」

彼氏がいないって、そりゃばれるよね。

今日の思い出に連絡先交換くらい、いいか。期待しなければいいだけ。

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