ツイてない!!〜But,I'm lucky to have you〜
「へぇ、姉ちゃんのコンサートチケットって、そんなに人気あるんだ?」

「何言ってるのよ孝弘。今さら」

「涼さんのプロモーションのおかげだね。チケット取れないほどの人気ピアニストだなんてさ。
敏腕マネージャーで、経営もエキスパート。頼れる無敵のパートナー。涼さんは、どうしてそんなにすごいの?」

「いやいや、孝弘くん。俺は初音のピアノの大ファンなだけ。一人でも多くの人に初音のピアノを聴いてほしい。それだけを思って、仕事に全力で向き合ってるだけなんだ。
俺はどん底を知ってる。全てを失うことを思い出せば、怖いものなんてないからね。それが今の問いの答え、かな」

こんなセレブな生活している人が、全てを失うどん底を知っているなんて。
ちょっと驚いた。
でも、強くいられる為の原動力が過去のどん底なら、確かに無敵かも。

私も、もうダメだと思うほどツイていなかった時に先生と出会った。それで救われた。
今でも先生との再会を心の拠り所にしている。だから涼さんの気持ち、少しわかる。


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