ツイてない!!〜But,I'm lucky to have you〜
「あら、孝弘と同じね。この子も両親の結婚式終わったら、すぐにニューヨークに戻るのよ」

私は丹下さんをチラッと見た。シャンパングラスを持つ姿もサマになってカッコいい。
私はまた会いたいって思ってたけど、何となく自分から連絡することは、ハードルが高かった。だから、今、こうして一緒にいられることは、嬉しい。

「お忙しいんですね、丹下さん。でも、上を目指して更に勉強するって素晴らしいですね。尊敬します」

「ありがとう。そんなこと言ってもらったのは初めてだよ。姉ちゃんも、幼なじみたちも、僕が資格を取得するのが当たり前と言わんばかりで。
そもそも、ニューヨークの弁護士資格を持つ弁護士が必要なのは仕方ないけど、僕じゃなくてもいいのにさ」

「暗い。暗いわよ、孝弘。もっと、こう、胸を張りなさいよ。『俺は弁護士だ、ニューヨークさえ手玉に取ってやるぞー』くらいの度胸を見せなさい」

「暗くて悪かったな。
あ、ほら、姉ちゃん、奏がもう眠そうだよ。寝かしてやれよ」

「あ、本当だ。涼、涼音をお願い。二人を寝かしつけたらもうちょっとおしゃべりに付き合ってね、真菜さん」

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