ツイてない!!〜But,I'm lucky to have you〜
「マナ…孝弘って、呼んで?」
「…孝弘…さん」


孝弘さんが艶っぽく私を呼ぶ。
大きな手で優しく私の身体をなぞる。

まずい。反射的に身体が震えてる。無意識に恐怖を抱いて反応している。


「寒い?」
「…ちょっと」


震えを、服を脱いだ寒さのせいにした。
だって、この歳で初めてだなんて恥ずかしいし、きっと重いだろう。もっと気楽に付き合えるような女の子と思われたい。もちろん、軽すぎると思われるのも嫌だけど。

そんなことを色々考えられるほど、冷静でいられたのは最初だけ。

彼から与えられる未知の行為に、次第に自分がコントロールできなくなって、あとは、ただ夢中で嵐に流されるしかなかった。


余裕がない私は、汗ばむ彼の背中に力一杯しがみつく。あまりの衝撃に息さえとめてしまう。なんとかこの強烈すぎる行為のショックを少しでも和らげたくて、身体を離そうとしてしまう。
そんな私を、力強く引き寄せ、孝弘さんは甘くささやいた。

「マナ、可愛い。大丈夫だから。怖がらないで」

彼の魅惑的な瞳が、私だけを見ている。
彼の唇は、私の名前を呼んでいる。
それだけで、怯えてこわばっていた体が弛緩していく。

私たちはハワイの夜を、誰よりも近くで、誰よりも熱く、”今”という時間を共有した…





< 84 / 234 >

この作品をシェア

pagetop