ツイてない!!〜But,I'm lucky to have you〜
「…初めまして。丹下広宗(たんげひろむね)と申します。
まずはお礼を言わせて下さい。孫の涼音を助けてくださって、ありがとうございました」

お父さんは、キリッと姿勢を正し、サングラスを外して私に深々と頭を下げた。

あ、やっぱりすごい。ガラリと変わった雰囲気には威厳がある。アロハシャツ着ていてもわかるほどのオーラだ。

「あ、いえ、無事でよかったです」

「二葉さんだって医師としてではなく一人の客として飛行機に乗っていた。
突然治療に当たることになり、飛行機という医療設備の整っていない中、戦ってくださった。
そのことにどれほど感謝を述べても足りません」

「命にに関わるほどの状態でなくて何よりでした。ドクターコールは初めてでしたが、あれほど戦う術の少ない、ほぼ丸腰の状態だとは思いませんでした。無事で本当に良かった。
本日は、おめでとうございます」

「…娘家族だけじゃなく、奥手の息子までがあなたに惚れ込んだ理由がわかる気がします。
あなたは、素晴らしい医師であり、素晴らしい女性だ。妻もぜひお礼をしたいと申しておりましたが、なにぶん女性は準備が多くて。後日、ぜひ会ってやってください」


こんなに褒められて、悪い気はしないけど。なんだか大袈裟で恥ずかしい。


< 95 / 234 >

この作品をシェア

pagetop