ツイてない!!〜But,I'm lucky to have you〜
そして、最終日。
私が乗る日本行きの飛行機は14時発。孝弘さんが乗るニューヨークへの直行便は15時発。
最後、東京に帰る前に見送ってもらえるのはうれしい。

「マナ。メールするから。電話もする。僕のこと、忘れないで」

ホノルル空港で、搭乗のぎりぎりまで孝弘さんが念を押す。

「うん」

たった、三泊五日。それでも、私にとってかけがえのない短くも美しい恋だった。

最後に彼をぎゅっと抱きしめ、私は背を向ける。

忘れないって、待ってるって、どうしても口にできなかった。だってこれでたぶん終わりだから。ハワイが見せてくれた夢の時間は。

さよなら、ハワイ。さよなら、孝弘さん。あなたと私では住む世界が違う。ニューヨークと日本という遠い距離と、多忙な現実が、たった三泊五日の夢のような恋なんてあっという間に忘れさせてしまうだろう。

「マナ!」

彼の声がしたけど、もう、振り向かなかった。

ありがとう、孝弘さん。ハワイの思い出に、あなたと恋ができて、幸せだった。

でも。

いつまでも夢のつづきは見られない。
私は、現実の世界に戻る。
自分の時間の全てを医療に捧げる、甘い恋なんて夢見ていられないほど多忙な毎日に、戻る。









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