Tear Flowers〜囚われた先にあるもの〜
「金に汚いって噂でも嫌ですよね」

エヴァンが言い、キキョウが「うん!純粋に舞台が楽しめなくなっちゃう!」と言い二人で会話が生まれていく。それをフィオナが感心しながら眺めていると、「三人とも、新人でしょ?団長に挨拶しに行きなさい!」と肩ほどの長さの金髪に青い目の女性が言う。

女性の指差す先には、小太りの男性が汗を拭っていた。恐らくあの人が団長なのだろう。フィオナが先に団長の元へ行き、話しかける。

「本日よりお世話になります、フィオナ・カモミールです。よろしくお願いします」

エヴァンとキキョウも挨拶をし、団長の顔色を伺う。団長はジロジロとフィオナたちを眺めた後、丸々とした手を差し出した。

「初めまして、団長のザクロ・モリアーティだ。色々覚えることが多くて大変だと思うが、みんなと仲良くやってくれよ」

ザクロは人が良さそうに笑い、フィオナたちの指導係を呼ぶ。小道具係であるフィオナとエヴァンの前に現れたのは、先ほどザクロに挨拶をするように言った女性だった。
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