Tear Flowers〜囚われた先にあるもの〜
「レイチェル・カタクリよ。分からないことがあったら何でも聞いてね」

「レイチェルくんは優秀だから、何でも聞くといいよ」

レイチェルの肩を叩き、ザクロはどこかへ行ってしまう。それを見届けてからレイチェルは険しい表情で二人に詰め寄った。

「レ、レイチェルさん?」

エヴァンが戸惑い、フィオナは彼女が行方不明事件と関係があるのではと素早くエヴァンを庇う。しかし、レイチェルはフィオナたちを攻撃することはなかった。代わりに震える唇を開く。

「お願い……団長にお金を渡すように言われたら、ちゃんとお金を渡して……」

「えっ?」

エヴァンは予想外のことに首を傾げ、フィオナは「どういうことでしょうか?」と訊ねる。しかし、レイチェルは寂しげに微笑んだだけでそれ以上は何も言わなかった。



フィオナとエヴァンが内側から劇団を調べ、外側からシオンたちが調べるという日常が始まった。

フィオナとエヴァンは怪しい団員を徹底的にマークし、フリージアたちが怪しいと判断された団員に接触し、能力を使って白か黒かを判断する。それの繰り返しだ。
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