Tear Flowers〜囚われた先にあるもの〜

「シオンさん、おはようございます」

フィオナとエヴァンが挨拶をすると、シオンも「おはよう」と返してくる。そして一枚の紙をフィオナに手渡した。

「フィオナが気になっていたブラックローズという言葉だが、調べてみたらある名家が出てきた。今も人里離れた森の奥で生活しているそうだ」

シオンの言葉にフィオナの瞳が大きく開く。婚約者を殺害した多くの人が言っていた「ブラックローズ」という言葉が気になり、フィオナたちは時間を作って調べていたのだ。

「ブラックローズって家系があるんだ……」

エヴァンが驚き、フィオナが「話を聞きに行ってもよろしいですか？」と訊ねる。シオンは大きく頷いた。

「私も一緒に行こう。黒いバラの花びら事件が進展するかもしれないしな」

特殊捜査チームの捜査はサルビアたちに任せ、フィオナとシオンはブラックローズ家の屋敷がある森へと車で向かう。

何かが大きく動くような予感がし、フィオナは胸元を強く掴んだ。