Tear Flowers〜囚われた先にあるもの〜



車で約二時間半、フィオナとシオンは車を降りて森の中を歩いていく。舗装されていない道は歩き辛く、フィオナはヒールのある靴を履いてきてしまったことを少し後悔した。

森の中は昼間だというのに薄暗い。シオンが「危険だから離れないで」とフィオナを見つめる。

「問題ありません。必ずシオンさんについて行きますし、何かあれば私が盾になります」

「違う、私のボディーガードになれという意味で言ったんじゃない」

シオンの少し大きな手が、フィオナの頬に優しく触れる。シオンの黒い瞳は切なげに揺れていた。

「フィオナに何かあれば私は心配だ。私だけじゃない。エヴァンや他の捜査員も心配する。あなたは大切な仲間の一人なんだから……」

シオンのその言葉に、フィオナの胸はエヴァンに「愛してる」と言われた時のように温かくなっていく。でも、エヴァンの言葉を聞いた時とはどこか違った感覚だ。でも、この感情をどう呼ぶべきなのか、フィオナにはわからない。
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