Tear Flowers〜囚われた先にあるもの〜
「気にしないで」
シオンが一瞬振り向き、笑顔を見せる。そしてフィオナは手を引かれたまま歩くき続け、まるで幼い子どもが母親に連れられて歩いているような感覚をフィオナは覚えた。
森の中を歩くこと四十分、フィオナとシオンの目の前に古びた屋敷が見えてくる。客を拒むかのように硬く門で閉ざされ、屋敷の窓には昼間だというのに分厚いカーテンが閉められている。そして、ブラックローズという家名だからか、屋敷の庭には黒いバラだけが育てられていた。
「黒いバラだけがある古びた屋敷……何だか不気味だ……」
シオンが呟き、フィオナは何が起きても対処できるように身構える。
シオンが呼び鈴を鳴らすと、「……はい」と疲れ切ったような老人らしき声が聞こえてくる。シオンが警察で聞きたいことがあると用件を言うと、「少々お待ちください」と言われた。
待つこと一分ほど、半分壊れかけたアンティーク調の玄関のドアが開き、白髪混じりの黒いスーツを着た男性が姿を見せる。
「わざわざご足労ありがとうございます。私はこの屋敷で執事をしております、ガク・エンドウです。以後お見知り置きください」
シオンが一瞬振り向き、笑顔を見せる。そしてフィオナは手を引かれたまま歩くき続け、まるで幼い子どもが母親に連れられて歩いているような感覚をフィオナは覚えた。
森の中を歩くこと四十分、フィオナとシオンの目の前に古びた屋敷が見えてくる。客を拒むかのように硬く門で閉ざされ、屋敷の窓には昼間だというのに分厚いカーテンが閉められている。そして、ブラックローズという家名だからか、屋敷の庭には黒いバラだけが育てられていた。
「黒いバラだけがある古びた屋敷……何だか不気味だ……」
シオンが呟き、フィオナは何が起きても対処できるように身構える。
シオンが呼び鈴を鳴らすと、「……はい」と疲れ切ったような老人らしき声が聞こえてくる。シオンが警察で聞きたいことがあると用件を言うと、「少々お待ちください」と言われた。
待つこと一分ほど、半分壊れかけたアンティーク調の玄関のドアが開き、白髪混じりの黒いスーツを着た男性が姿を見せる。
「わざわざご足労ありがとうございます。私はこの屋敷で執事をしております、ガク・エンドウです。以後お見知り置きください」