リリィ・ホワイトの愛が目覚めるまでの日記
姉妹
×月×日
どうして皆、そんなに戸惑った顔をしているのだろうか?
ロージーの話では、ずっと眠って目覚めなかったのだという。 どこが悪いわけでもないのに。
「お姉様は三年もの長い間、一度も目覚めずに眠っていらっしゃったのよ」
三年……?
「リリィ、覚えていないかい? 俺と馬に乗って森に出掛けただろう」
そういえばあの時、馬の目の前を兎が横切った。 パニックを起こして暴れ出した馬に私は振り落とされ、気づいたら地面に叩き落とされる形になった。
まさか、その時から三年も経過したと言うのだろうか。
ロナウドは意識を失くした私を従者と共に邸まで運び、すぐに男爵家のかかりつけ医を呼んだらしい。 あまりにも突然の事故で、その時は邸に運ぶしか咄嗟には何も思いつかなかったと悲しそうに言う。
それから医師と呼べる医師を何度も招いて診察させた。
お父様達の懇願により、この国の王族の健康を管理する、権威と誇りを持つ医師にも診せた。 ところが、こうなった理由も治癒方法もわからないと匙を投げたらしい。
結局、どれだけの医師に診察させても馬から堕ちた際に頭を強打した影響が出ているのかもしれない、或いは何らかの呪いが掛けられている可能性も否定できない、との診断だけで打つ手がなかったのだと言う。
それから三年。 私はある日、目を覚ました。
どうして皆、そんなに戸惑った顔をしているのだろうか?
ロージーの話では、ずっと眠って目覚めなかったのだという。 どこが悪いわけでもないのに。
「お姉様は三年もの長い間、一度も目覚めずに眠っていらっしゃったのよ」
三年……?
「リリィ、覚えていないかい? 俺と馬に乗って森に出掛けただろう」
そういえばあの時、馬の目の前を兎が横切った。 パニックを起こして暴れ出した馬に私は振り落とされ、気づいたら地面に叩き落とされる形になった。
まさか、その時から三年も経過したと言うのだろうか。
ロナウドは意識を失くした私を従者と共に邸まで運び、すぐに男爵家のかかりつけ医を呼んだらしい。 あまりにも突然の事故で、その時は邸に運ぶしか咄嗟には何も思いつかなかったと悲しそうに言う。
それから医師と呼べる医師を何度も招いて診察させた。
お父様達の懇願により、この国の王族の健康を管理する、権威と誇りを持つ医師にも診せた。 ところが、こうなった理由も治癒方法もわからないと匙を投げたらしい。
結局、どれだけの医師に診察させても馬から堕ちた際に頭を強打した影響が出ているのかもしれない、或いは何らかの呪いが掛けられている可能性も否定できない、との診断だけで打つ手がなかったのだと言う。
それから三年。 私はある日、目を覚ました。