リリィ・ホワイトの愛が目覚めるまでの日記
ロージーの涙を拭うハンカチを持っておらず、私は侍女の方を振り返る。
すると彼女はすぐさま駆け寄って、ハンカチを差し出してくれた。 何も言わなくてもわかってくれる。
だが、その時にはもうロージーの涙は止まり、ハンカチは頬の涙跡を拭くのみ。
そのハンカチにはお母様が縫ってくれた刺繍が施されてある。
私と妹の物それぞれに名前のイニシャル。 とても大好きなお母様の手縫いだ。
「リリィねぇさま、どこにも行かないでね」
「ロージーの側にいるわ」
それは他愛もない小さな妹のお願い。
大好きな妹の願いは何でも叶えてあげたい、そう思った。
「リリィは僕のお姫様なのに……」
「リリィねぇさまはわたしのなの!」
ロナウドが呆れ、ロージーが膨れて言い返す。
そんな、ままごとのような三人の関係はその後も続き、二年の歳月が経過した。
庭を彩る若葉の色が優しい八歳の年、私とロナウドは婚約者となった。
すると彼女はすぐさま駆け寄って、ハンカチを差し出してくれた。 何も言わなくてもわかってくれる。
だが、その時にはもうロージーの涙は止まり、ハンカチは頬の涙跡を拭くのみ。
そのハンカチにはお母様が縫ってくれた刺繍が施されてある。
私と妹の物それぞれに名前のイニシャル。 とても大好きなお母様の手縫いだ。
「リリィねぇさま、どこにも行かないでね」
「ロージーの側にいるわ」
それは他愛もない小さな妹のお願い。
大好きな妹の願いは何でも叶えてあげたい、そう思った。
「リリィは僕のお姫様なのに……」
「リリィねぇさまはわたしのなの!」
ロナウドが呆れ、ロージーが膨れて言い返す。
そんな、ままごとのような三人の関係はその後も続き、二年の歳月が経過した。
庭を彩る若葉の色が優しい八歳の年、私とロナウドは婚約者となった。