リリィ・ホワイトの愛が目覚めるまでの日記
 ロナウドと彼、ジェイは学校で知り合った仲らしい。
 ここ、ミハイゼン国の出身ではないジェイは隣国トラウデンバーグから学びにやって来た。
 ところが、本来が自由人だという彼は母国に帰って父親の跡を継ぐのが嫌で、ここに留まったままらしい。

 身なりと自由意思の彼を見て、嫌悪を感じないのは気さくで澄んだ瞳をした顔立ちのせいだからだろうか。
 ジェイ様と呼ばせないのもその要因の一つだ。
 おそらくは第一印象に反して、彼の家格は上位貴族のよう。

 私は初めて会った彼に好奇心と興味をすぐに持った。
 婚約者以外の男女二人きりでシモンズ家に向かって歩いているというのに。
< 28 / 118 >

この作品をシェア

pagetop