リリィ・ホワイトの愛が目覚めるまでの日記
その先の光
×月×日

「リリィ様、日差しのせいか今日は一段と顔色が明るいようですね」

 白髪でピンと姿勢の良い初老の執事は眼鏡がよく似合う。 まるで彼の為にあつらえられたような執事服の胸ポケットに入っているのは白いハンカチーフではなく、もう一つの眼鏡。
 どうやら書物を読む際の眼鏡と使い分けているらしい。

 この邸にはもう何度も訪れていて、もちろんビアンカに会うのが目的。
 ジェイは居る時といない時があり、執事はそれでも構わず私を迎えてくれる。

「体調もすっかり良いのよ。 こうやって散歩できているおかげかしら」

 ここの執事は私の事情を承知だ。
 それはジェイとロナウドが友人同士だからという理由もあるが、周辺地域の様子をどこからか仕入れているらしい。 顔の広い人物のようだ。

「今日はジェイはいらっしゃるの?」

「裏庭の方でビアンカと遊んでおります」
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