リリィ・ホワイトの愛が目覚めるまでの日記
羨望
×月×日

「お姉様が元気そうで良かったですわ」

「ここは空気が美味しいから」

「きっとお父様とお母様も安心なさいますね」

「ロージーからも私が元気だった事、伝えてちょうだいね」

「えぇ、もちろんです」

 ロージーの愛くるしくて、コロコロ変わる表情は子供の頃のまま。 それでいて少女から大人の女性に変わりつつある美しさは姉の私でも見惚れるくらい。

 テーブルに置かれたお茶を手に取って前屈みになる度に縦ロールの髪が揺れる。 まるでお伽の国のお姫様のように。

(綺麗だわ、とても綺麗。 私の短い髪とは大違いね)

 思わず私は、肩までしかない短い髪を手で掬った。

 実はここに戻って来る前に、実家のホワイト家で切って来たのだ。
 長い昏睡状態のせいで腰まで伸びすぎてしまった。 動けない事もあって始末に困り、そこで思い切ってバサリと切る事にしたのだった。
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