リリィ・ホワイトの愛が目覚めるまでの日記
 どうにか役に立ちたい、ジェイが少しでも心満たされるように。

 身なりのせいではないはず、きっとこれは偽り。
 私やロナウドにも見せたくない本心があるのだ。
 それが悲しくあるのは、私だけが彼の理解者のような気がしたから。

「だが、それももう終わりさ」

「どういう意味?」

「実は国に帰らなくてはならなくなってね」

 国に、帰る……?

「確か、トラウデンバーグでしたね」

「父……から帰って来るようにと文が届いてね」

「それで、いつ?」

「来週末には戻るつもりだよ」

「そんな、来週だなんて。 私とロナウドは来週にはホワイト家に向かう予定だというのに……」

「見送りはいいさ。 だからこうして君に会いに来たのだからね」

「もう、会えませんの?」

「残念ながらね。 この国には用が無くなったから」

 もう会えない? 二度と?
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