リリィ・ホワイトの愛が目覚めるまでの日記
曇り硝子の向こう
×月×日

 もっとジェイと話がしたかった。
 これで最後かもしれないのに。 会えないかもしれないのに。
 ところがまるで邪魔をするかのように、ロージーが私を引っ張って邸内へと引っ込んでしまう。

 引っ張られながら振り返ると、ただ無言でそのままその場に立つジェイがいた。

 なんとも言えない気持ちだ。

 申し訳なさと寂しさ?
 それだけではない、悲しさだ。

 ジェイはあんなにも優しくて素晴らしい人となりをしているのに、どうして誰も彼も見た目でしか判断しようとしないのか。

 邸内の玄関ホールに入ったところで、ロージーが言う。

「お姉様、あのような方と親しくなさるお考えは改めて頂かねばなりませんわ。 ロナウド様にも申し訳ないでしょうに」

「ロージー、何を言っているの? あの方はロナウドのご友人よ。 親しくするのは当然でしょう」

「ロナウド様は自ら親しくしているのではなく、哀れんでいらっしゃるのです。 どう見てもみすぼらしいではありませんか」
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