リリィ・ホワイトの愛が目覚めるまでの日記
戻らない音
×月×日

「どうした、リリィ?」

 真正面に座るロナウドが心配そうに身体を前屈みにしながら問い掛ける。

「いいえ、なんでもないのよ」

 馬車に揺られながら目指す目的地はホワイト家。
 かねてより予定していたロナウドと二人での帰省。
 今日は天気も良く、出掛けるには最適といえるだろう。 そう、気分も至極冷静に。

 ロナウドにもロージーにも結局は何も聞けなかった。

 あの日から一週間経過しているというのに、何も変わらない。
 ロナウドは未来の夫という振る舞いを崩さなかったし、ロージーは姉想いの優しい妹だった。
 そんな中で使用人達や執事の、私に対する態度はどこか冷めた雰囲気。
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