お見合い婚で一途な愛を ~身代わり妻のはずが、御曹司の溺愛が止まりません!~
「そうだ。 明日は朝早いし、寝坊防止のために一緒に寝る?」

「どうしてそうなるんですか。寝ませんよ」

こういう軽いノリやからかいも躱せるようになってきた。

「でも、ホテルではベット一緒だよ?」

「はぇ…!? 部屋、ひとつしかとらなかったんですか!?」

「新婚旅行で別々の部屋をとる夫婦がどこにいる」

「そりゃ、一般的にはそうかもしれないですけどね! 私たちは違う――」

「何言ったって、もう変えられないからね」

不敵な笑みで見つめられ、ぐっと言葉につまる。
旅行のプランやホテルの手配は全部任せてほしいと言うので、よっぽど旅行が好きなのかとお任せしたけれど、もしやこれが目的?
おのれ三間航太郎!油断も隙もない――!

「まあまあ、そんなに怒らないで。 勝手に予約したことは謝るけど、断っていたら全力で止めにくるだろうと思って。 新婚旅行で翠との距離を縮めたい俺の、健全な判断だよ」

「どこが健全ですか………はぁ、もういいです。 今更キャンセルできないですもんね」

「そうそう。 ということで、一緒に寝る? 俺たち、所謂結婚初夜ってのがまだなんだけど」

「おやすみなさい!! また明日!」

何がどういうことなんだ!と思いながら夜のお誘いを振り切る。

この調子で、明日から四泊五日。
大丈夫だろうか。
ベットに押し倒されて、まんまと初めてを奪い去られやしないだろうか。
休みが取れないとか言ってたけど、結構ボリューミーな旅行になる。
海外旅行にはどれだけの時間を費やすおつもりなのだろうか。 御曹司の考えることは庶民の私には理解し難い。

四泊五日、私は自分を守り抜かなければ。



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