お見合い婚で一途な愛を ~身代わり妻のはずが、御曹司の溺愛が止まりません!~
空港を出ると、〝めんそ〜れ沖縄〟の文字を見つけて興奮する。
「沖縄……! 最初はどこに行くんですか?」
「元気だね、翠。 予約したランチまで時間があるから、海に行ってみようか。 一度ホテルに寄って、先に送った荷物のチェック――危なっ…」
「え?」
途端に体が後ろに引っ張られ、そのまま航太郎さんの胸にぽすんと着地した。
少し顔を浮かせてみれば、スーツケースを引いて歩く男性とぶつかりそうになっていたところだと気づく。
「旅行は始まったばかりだから、慌てなくても時間はたっぷりあるよ」
くすくすと笑いながら宥められ、しゅんとする。
はしゃぎすぎてしまった。恥ずかしい……
「ご、ごめんなさい…」
「はぐれないように、手、繋いどこうか」
今度はにやりと笑って言う。
今失敗したばかりの私は抗えずに、歩き出した航太郎さんの後を追いかけた。