お見合い婚で一途な愛を ~身代わり妻のはずが、御曹司の溺愛が止まりません!~
やってきたのはホテルからほど近い海だった。
子供たちは夏休みの時期ということもあって、ビーチは観光客で賑わっていた。
「冷たっ! 航太郎さんも早く!」
「またそんなにはしゃぐと、今度は転ぶぞ」
「うるさいですねぇ! いいんですよ水着だから」
砂浜に立ったままの航太郎さんに笑われて、ちょっとした悪戯心がはたらく。
私はにやりと笑ってみせ、手で海水を掬うと航太郎さん目掛けて――
「うおっ! …やったな?」
航太郎さんの服が濡れ、Tシャツが肌にくっつく。
色気ってこういうことを言うんだうな……とつい関心していると、航太郎さんが仕返しとばかりに水をかけてくる。
「あ、ずるい! 航太郎さんの方が手が大きいんだから、手加減してくださいよ!」
「水着だからいいんでしょ? とことんやり合おうじゃないか」
それから次第に熱が入ってきて、ランチの時間までふたりしてはしゃいでしまった。
「ここまで全力で遊んだのは久しぶりだよ」
「航太郎さん、楽しそうでしたよ。すっごく」
「恥ずかしいな。いい大人が」
部屋に戻って着替えを済ませると、なんとレンタカーを借りていた航太郎さんの運転で小洒落たレストランに向かった。
「いいじゃないですか。 旅行なんですし」
「そうだね」
思いっきり遊んだことで、私たちの間に会話が増えたように思う。
このまま楽しく、普通に過ごせればいいのだけど――