お見合い婚で一途な愛を ~身代わり妻のはずが、御曹司の溺愛が止まりません!~
その日の夕方、私たちはホテル一階のお土産屋さんを見て回っていた。
まだ初日だけど、航太郎さんは会社への買い物に気を遣う立場なので、後で焦らないようにあらかじめ見ておきたいとのこと。
私も旅行中のお土産選びは好きなので喜んでお供した。
「あっちの方も見てくるよ。 翠も欲しいものがあったら言ってね。 でもあんまり遠くには行かないで、別の店に行くなら俺を連れていくこと」
「子供じゃないんですから。 さっさと行ってください」
航太郎さんの過保護すぎる心配を軽くあしらって、彼と離れる。
彼は私を何歳と思っているの?
五年前に成人してるんですが!
心の中で文句を言いながら店内を歩き回っていると、ふと向かいのお店にメンズものの水着を見つけた。
航太郎さん……濡れてもいい服は何枚か持ってきたって言ってたけど、水着は持っていないんだよね。
…なんとなく私だけ水着ってのが寂しい感じもするし……。
今いる店内に視線を走らせ、航太郎さんの姿を探す。
お菓子が並ぶ棚をじっと真剣に見つめていて、その姿が少しおかしくてふふっと笑いがこぼれる。
向かいのお店だし、すぐに戻ってくればいいよね。