お見合い婚で一途な愛を ~身代わり妻のはずが、御曹司の溺愛が止まりません!~
私の言葉が予想外すぎたのだろう。
航太郎さんは何も言わずに前を向いたまま。
しばらくの沈黙の後、彼が口を開いた。
「無理して逆プロポーズする必要ないよ。 翠の心がちゃんと決まってから、俺がするんだから」
今度は私が驚いて固まった。
だって、航太郎さんのことだから、『逆プロポーズ? 翠、かっこいいね。 ていうか結婚してくれるの? 嬉しいな。今すぐ区役所行こう!』…みたいな感じだと思っていた。
全くの真逆の返答に、拍子抜けだった。
「無理…してません」
「俺は翠に嫌々結婚してほしいわけじゃない。翠が俺しか見えなくなるまで待つよ。 そのために今は、じっくり攻めてるの」
じっくりって、散々強引に迫ってきて初夜まで奪ったくせに。
とはいえ、航太郎さんと暮らし始めてから今まで、無理に婚姻を迫ってきたことがないのは事実。
じっくりかどうかは別として、本当に私が結婚したいと思うまで待ってくれるのだろう。
そんな日がくるとは限らないのに。
「一生結婚しようと思えないかもしれないじゃないですか」
「それならそれで、事実婚になるだけだね」
航太郎さんは軽く笑って言う。
「航太郎さんはそれでいいんですか…」
自分で言って、なんてずるい言い方だろうと思う。
彼が今のままでは嫌なら、婚姻を迫ってきているはずだから。
「翠と一緒にいられれば十分だよ。 世間一般の契りも交わせれば、さらに安心だけどね」
一緒にいられればって、何を持ってそんなことを言うのだろう。
特に私のことを好きなわけじゃないはずでしょう?
はっきりと、好きだとか愛を囁かれたわけではないのに、まるでそう感じさせることを言ってくる。
…航太郎さんのこと、人となりを知ったと思ったけれど、やっぱりよく分からないことの方が多い。 それとも、私の自惚れだろうか。
これから先、私たちは本物の夫婦になる日はくるのだろうか。
通り過ぎていく夕暮れ時の街並みを眺めながら、考えていた。
航太郎さんは何も言わずに前を向いたまま。
しばらくの沈黙の後、彼が口を開いた。
「無理して逆プロポーズする必要ないよ。 翠の心がちゃんと決まってから、俺がするんだから」
今度は私が驚いて固まった。
だって、航太郎さんのことだから、『逆プロポーズ? 翠、かっこいいね。 ていうか結婚してくれるの? 嬉しいな。今すぐ区役所行こう!』…みたいな感じだと思っていた。
全くの真逆の返答に、拍子抜けだった。
「無理…してません」
「俺は翠に嫌々結婚してほしいわけじゃない。翠が俺しか見えなくなるまで待つよ。 そのために今は、じっくり攻めてるの」
じっくりって、散々強引に迫ってきて初夜まで奪ったくせに。
とはいえ、航太郎さんと暮らし始めてから今まで、無理に婚姻を迫ってきたことがないのは事実。
じっくりかどうかは別として、本当に私が結婚したいと思うまで待ってくれるのだろう。
そんな日がくるとは限らないのに。
「一生結婚しようと思えないかもしれないじゃないですか」
「それならそれで、事実婚になるだけだね」
航太郎さんは軽く笑って言う。
「航太郎さんはそれでいいんですか…」
自分で言って、なんてずるい言い方だろうと思う。
彼が今のままでは嫌なら、婚姻を迫ってきているはずだから。
「翠と一緒にいられれば十分だよ。 世間一般の契りも交わせれば、さらに安心だけどね」
一緒にいられればって、何を持ってそんなことを言うのだろう。
特に私のことを好きなわけじゃないはずでしょう?
はっきりと、好きだとか愛を囁かれたわけではないのに、まるでそう感じさせることを言ってくる。
…航太郎さんのこと、人となりを知ったと思ったけれど、やっぱりよく分からないことの方が多い。 それとも、私の自惚れだろうか。
これから先、私たちは本物の夫婦になる日はくるのだろうか。
通り過ぎていく夕暮れ時の街並みを眺めながら、考えていた。