お見合い婚で一途な愛を ~身代わり妻のはずが、御曹司の溺愛が止まりません!~
「あっ、トロ! まって、そこは……! はぁ…またやっちゃった」
ふーっすっきりした。とでも言いたげな涼しい顔でキャットタワーに登るトロを見てため息がこぼれた。
ただいまトイレトレーニング中のトロなのだが、どうにも上手くいかない。
粗相したところを手際よく片しながら、二度目のため息が出てしまう。
本当は、失敗してしまっても大声で引き止めるのは良くない。
猫が、その場所でするのが悪いのではなく、排泄自体が悪い事だと認識してしまう可能性があるからだ。やがては隠れて排泄するようになってしまうらしい。 …今のところ、堂々と失敗するあたり、その心配は無さそうだけど…。
ちなみに航太郎さんは、トロの粗相を静観するというスキルをマスターしている。
ふたりとも初心者なので、雑誌なんかを熟読し、トイレの兆候が見えたら連れていくというのを実行している。
けれど、なかなかしないので、あれ、気のせいだったかな? と諦めて少し目を離した隙に……これだ。
どうしたものか。トイレが気に入らないのかな?
リビングルームの隅なので、位置は大丈夫だと思うんだけど…。
頭を悩ませていると、航太郎さんが帰宅してきたのが分かって、掃除を終えて料理を温め直す。