お見合い婚で一途な愛を ~身代わり妻のはずが、御曹司の溺愛が止まりません!~
形だけの、夫婦のはず………が、どうして私は、彼の布団に!
「翠。 もっとこっち寄ったら?」
「だ、大丈夫です! 余裕あるので……」
「そうじゃなくて――……くっつきたいの。俺が」
「ひゃっ……」
ぐいっと体ごと回転させられ、航太郎さんと向き合う形になる。
やっぱりベット一緒とか、マズイって!
遡ることつい数分前。
航太郎さんがお風呂から上がってきてからだ。
『翠……俺、今日ずっと考えてたんだけど』
『何をですか?』
『明日には、俺たちの結婚は会社中に知られていると思うんだよ。 ……夫婦なのに、ベットが別っておかしくない?』
急に大真面目な顔で何を言うかと思ったら……!
『私たちが家でどうあろうと、社員にはわかりませんよ!』
『でも…もし聞かれたら? 俺たち初夜以来ご無沙汰だけど』
『そんなこと聞いてくる人いないでしょ!! セクハラですよ、セクハラ!』
息を切らしながらまくし立てる。
こんなことをずっと考えてたって言ったよね?
三間航太郎、変態なんじゃない!?
『とにかく、今日から寝室を一緒にしよう! いつでもそうなっていいように、ベットはキングサイズにしておいたから安心して。 寝心地の良さは、もう知ってるだろうけど』
にっこりと微笑んでみせる。
ぜんっぜん話が噛み合わない………ていうか、安心なんてできないよ!
毎晩誘ってくるあなたの隣が、安全なわけない。私は自分で自分を抱きしめるようにしてバリアをはる。
それなのに、そんなのお構い無しに近づいてきた航太郎さんは、ひょこっと私を持ち上げお姫様抱っこしたのだ。
『うわっ! ちょっと、何するんですかー! おろしてーー!』
そのまま寝室に強制連行。
広々としたキングサイズのベットに寝かされてしまった――