お見合い婚で一途な愛を ~身代わり妻のはずが、御曹司の溺愛が止まりません!~
「トロ……。航太郎さん、帰ってくるよね」
夕飯の支度も終えて、航太郎さんの帰りを待っている間、私は落ち着かなかった。
松下さんのことは信じないと決めたけど、万一のことがあったとしたら。
彼が今夜、帰ってこなかったらと思うと不安でたまらなくて、トロを抱きしめては話しかけ、きょとんとする顔を眺めて、を繰り返している。
時折、みゃーと小さな声で鳴いて答えてくれるトロと、航太郎さんが帰ってくるまでの時間を過ごした。
そうして、航太郎さんはいつもと同じ時間に帰宅してきた。
玄関が開く音がして、ほっと息をつく。
「おかえりなさい! 航太郎さん」
安心感から、思わずテンション高めにお出迎えしてしまう。
そんな私を嬉しそうに見つめて、「ただいま」と言ってくれる航太郎さん。
やっぱり、航太郎さんの相手は松下さんじゃない。
こんなに優しく笑う人が、あの人を好きになるなんてどうしても思えない。
「どうしたの? 何があった?」
飛びつくように航太郎さんに駆け寄ったので、彼も変だとは思ったらしい。
私は話してしまうことにした。
松下さんが、私に会いに来たこと。