捨てられ聖女は魔王城でスローライフを送る〜戻れと言われてお断りしたら、向こうから来るらしい〜
騎士の話によると、私は旅の間ずっと気を失っており、数日が経過しているということ。その間に、ノインシュタット国から魔王領へ、聖女を魔王陛下の花嫁として贈るということを、伝えてあるらしい。

ーーいや、それってかなり一方的で、押し付けがましくない?

結婚相手なんて、愛し合った者同士がする物……、と、そこでユリアの記憶で否定が入る。私の今の世界の結婚など、家の思惑による物が全てだ。私に関してはそこに、さらに国の意思が添えられた物。

この世界の人間は魔王領に住むという魔族を勝手に恐れている。彼らからの侵略などはないものの、魔族は人に比べて遥かに強い魔法行使力を持つ。それは、上位魔族になればなるほどなのだという。そう、人間はその力の差を恐れているのだ。

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