運命の推し
プロローグ
ーーファンでいてくれた女の子が、亡くなった。
オレ宛てに書いた手紙を、洋服のポケットに入れて。
自分の命を、自分で絶ったらしい。
ニュース番組で取り上げられて。
オレたちの曲が流れる。
「ずっとずっと大好きでした」
手紙の最後の一文。
「優大、起きぃや」
いつの間にか眠ってしまっていたらしい。
「あ、ごめん。今何時?」
「いや、まだ時間は大丈夫やけど……。めちゃめちゃうなされてたで」
周が心配そうな表情で、オレの顔を覗きこむ。
「夢見ててん。……あの日の、夢」
額に汗をかいていることに気づき、そばに置いていたタオルで拭う。
「優大」
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