運命の推し
心からの言葉だ。



いいの、別に。

それなら、それで。




だって。

私、「長く生きた」という実感があるもの。







そのあと、食卓の雰囲気はしんみりしてしまった。


私は申し訳ない気持ちになったけれど、仕方ないとも思った。



頭のすみで。

お父さん本人が、もう長くないと打ち明けてくれた時も、こんな感じだったことを思い出す。










それから。

病院に美加子と香奈子と3人で来ている。




あのしんみりした食卓の日から、2週間が経過していた。




「私、車をまわしてくる」

香奈子がタッタッと病院から先に出て行った。


美加子はその後ろ姿を見ながら、
「気をつけるのよ」
と声をかけた。






今日、私は自分の命がわずかだと聞かされた。













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