運命の推し
仕方なく、私は床に座る。
「よっこいしょ」
思わず言ってしまう、お馴染みの言葉。
美加子や香奈子も腰を下ろした。
「笑子ばあちゃん、ベッドに腰かけたほうが楽だと思うよ」
日向がテレビ画面から目を離さずに言う。
香奈子も、
「そうだね、ベッドのほうが楽だよ」
と言うので、私はベッドに腰かけた。
テレビ画面には、先程の若い男の子たちが歌って踊っている様子が流れている。
「この人たち、誰なの?」
私は美加子に聞いてみる。
美加子は「えーっと」と腕を組み、
「誰だっけ?名前が出てこないー……、ほら、アレよね?なんちゃらかんちゃら〜……、うーん」
と悩み出した。
「『シー・ファンキーズ』だよ」
日向が答える。
「シー・ファンキーズ」?
聞いたことがない名前だった。
「人気があるんだよ」
香奈子が説明を始めた。