運命の推し
「仲良しなのは、いいわねぇ」
確かにステージの上でも、メンバー同士で目が合うとニコッと微笑む場面がある。
「……うん、羨ましい」
日向の声が急に小さくなった。
私は、日向がどうして部屋の中にひきこもっているのかを知らない。
『いつの間にか、ずっと部屋にいるひ孫』
そんなことしか、私には今の日向のことが分からない。
日向に愛情が無いわけじゃないのに、私は自分の、日向に対する関心の無さにぞっとした。
「笑子ばあちゃん?」
日向が心配そうに私を見つめている。
……これから。
これから、私は日向を知っていこう。
何が好きで、何が嫌いなのか。
最初はそんなところから知れたらいいかもしれない。
この子との薄い関係性を、少しでも濃いものにしていきたい。
今までを心から反省した。
『星の降る夜には』の、サビの部分にきた。
優大の高音の歌声が心地良い。