運命の推し
美しいメロディーに、優大の声がとても合う気がする。


「優しい歌声ね」

耳が幸せになる。


日向は、
「優大は優しいから」
と言う。

「『シー・ファンキーズ』の中で、優大はお兄ちゃん的存在なんだよ。いつだってメンバーのことを大事に思ってるし、メンバーを引っ張ってくれる存在なんだと思うんだ」

「日向も優大が好きなの?」

私は嬉しい気持ちで聞いてみる。

でも、日向は頭を横に振った。

「私は、この人」
そう言って画面にうつる、オシャレな帽子を被った男の子を指差した。


「周くんを推してるんだ」


……推してる……?

聞き慣れない言葉に、一瞬戸惑う。


そういえばこの間も「推す」とか言っていたわねぇ。


「ファンってことだよ」
日向が説明してくれた。

若い子の言葉は面白いなぁ、と思う。



「周くんね、覚えておくわ。どういう人なの?」

優大以外の「シー・ファンキーズ」のメンバーにも、興味が出てきた。

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