運命の推し
「そうかしら」
「生きている時代が違うと、生き方は多少変わるとは思うけど。でもみんな、同じなんだよ、きっと」
日向の言う言葉の意味が分からない。
「どの時代だって、つらいことがあるでしょ?でも、楽しいことも同じようにあるんだよ。生き方が変化していっても、人はきっと同じだと思う。だから、笑子ばあちゃんと優大だって、同じだよ」
「同じ……」
「私の意見だからね、あくまで」
じゃあ、私と日向も。
青春を過ごした時代は違っても、同じってことなのかしら。
同じように、つらいこと、楽しいことを共有できるのかしら。
優大とも?
「『シー・ファンキーズ』は、メンバー全員が映画出演してるんだよ!」
日向は話題を変えた。
小難しい話に飽きたみたい。
「映画?優大も?」
「うん、出てるよ!!優大はねー、アクションものとー、ラブストーリーとー、学園ファンタジーも出てるよ!」
「あら、たくさん」
「器用だからね!歌やダンスだけじゃなくて、演技だってうまいよ」
誇らしげな日向。
可愛らしい。
本当に「シー・ファンキーズ」が好きなのね。
「笑子ばあちゃん、映画のDVDもあるよ」
「えー、観たいわ!」
年甲斐もなくはしゃいでしまった。