運命の推し
第3話
恋愛映画
「優大の出演映画、この間は学園ファンタジーを観たけれど、今日は私、こっちが観たいなぁ」
朝。
美加子と香奈子が出勤したあと、私はまた日向の部屋に来ている。
「こっちって……、ラブストーリー?」
私はほんの少し、身構える。
「大丈夫だよ、笑子ばあちゃん!そんなにイチャイチャするシーンは無いよ!?話の流れもすごく良くてね、泣けるって評判が良かったんだよ!」
そうは言われても……。
私としては、「推し」のラブシーンなんて観たくない。
だって。
なんだか寂しいじゃない。
相手の女優さんにも、きっとこれから嫉妬の目を向けてしまう。
「ねー、お願い。観ようよー、良い映画だからー」
日向が駄々っ子みたいな口調になったことが可笑しくて、
「そんなに良い映画なら」
と、私は日向のベッドに腰をかけた。
眼鏡もかけて、準備万端だ。
日向は嬉しそうにDVDをセットした。