運命の推し
「入ってもいい?」


障子がゆっくり開いた。



日向が立っている。


部屋まで来てくれたことに驚いて、私は目を丸くした。



「笑子ばあちゃん、具合悪いの?」

日向の心配そうな顔。

そんな顔しないで、と言おうとした時。


「笑子ばあちゃんに渡したいものがあるの」
と、日向が私の布団のそばまで来てくれた。



「なぁに?」


「はい、これ」


日向は私に封筒を渡した。




「中を見てもいい?」


「もちろん」



私は封筒をゆっくりと開ける。



写真が入っている。



「あら」


優大が素敵な衣装で決めている写真だった。



「これ、少し前のだけど」


日向は少し申し訳なさそうに俯いた。


「嬉しい、ありがとう。でもこれ、どうしたの?」


「初回限定盤のCDを買った時に付いてたの。周くんじゃなかったから、本当の本当は、ちょっとだけ残念だったんだけど……」

日向は顔を上げて、私をまっすぐに見た。

「笑子ばあちゃんにプレゼントすることが出来たから、むしろ良かったよ」


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