運命の推し
第5話

発見





夏が終わった。


そう感じたのは、病院の帰り道。



セミの鳴き声がいつの間にか聞こえてこなくなったから。



空を見上げたら、お日様の光も柔らかく感じたから。






「秋がきたのね」

私はひとり、呟く。


夏が特別好きなわけではないけれど。

夏が去ったあとは、寂しくなる。






足腰が痛くて。

私は近くの公園のベンチに座って休憩することにした。




平日の午前中。

公園はがらんとしている。


ベンチを見つけて、腰を下ろした。






「痛ててててっ」


腰に手を当ててさすってみる。

足もクタクタだ。

ほんの少し歩いただけなのに。



でも。

ただ座っているのも、ひまなのよね……。




私はいつも持ち歩く手帳に挟んだ、宝物を取り出した。




優大の写真。



素敵な瞳ね。




いつもそう思う。



それに、誰かに似ているって気がしてたまらない。

誰かが、誰なのか。


まだ思い出せずにいるけれど。



「のどに刺さった魚の小骨みたいね」



つい、写真に話しかけてしまう。




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